FX フィボナッチの使い方と手法
FXでの「フィボナッチ」の使い方
「フィボナッチ」とは?
「フィボナッチ」とは、中世時代(12世紀~13世紀)に活躍していたイタリアの数学者
「レオナルド=フィボナッチ」が由来です。
0 1 1 2 3 5 8 13 21 34 55 89 144 233 377 ・・・
この数値の羅列には、ある一定の規則があります。
任意の数値を基準とし、基準の数値と 1つ左側の数値を足すと、基準右側の数値になります。
また、気付きにくいかもしれませんが、次のような規則もあるのです。
- 基準の数値を 1つ右側の数値で割ると 0.618になる
- 基準の数値を 2つ右側の数値で割ると 0.382になる
- 基準の数値を 3つ右側の数値で割ると 0.236になる
- 基準の数値を 1つ左側の数値で割ると 1.618になる
この法則は、どこに基準を置いても成り立ちます。
そして、この数値を利用した比率「1:1.168」は黄金比率と呼ばれ、最も安定している比率と言われています。
0.618、0.382、0.236などは「フィボナッチ比率」と呼ばれ、人間が心地よい数値(比率)と感じるのです。
フィボナッチ比率は自然界に多く存在する
フィボナッチ比率のことを人間が心地よいと感じるのは、自然界に多く存在するからだと言われています。
自然界でフィボナッチ比率がみられる例としては、ヒマワリの種の配列が有名です。
ヒマワリの種の配列は、中心の種の次には、360度を黄金比で分割した約 137.5° の位置に種がつき、その繰り返しで数千もの種を密集させます。
この角度が少しでも違うだけで、種の配列は隙間だらけになってしまうのです。
密集した種を真上から観察すると、右回り、左回りの 2つの螺旋(らせん)が見てとれますが、この螺旋(らせん)は、4分の1の円弧ごとにフィボナッチ比率にピッタリと合わせて半径を拡大しています。
さらに、葉についても太陽の光や雨を受けやすいように、フィボナッチ比率に沿って、精巧に位置をずらして成長するのです。
その他にも、「自然」の中では、巻貝の螺旋や、松ぼっくり、雪の結晶、星雲の構造の他、「建築物」において、パルテノン神殿や、ピラミッドなど、「絵画」においてはレオナルド・ダヴィンチの作品の数々にもフィボナッチ比率が利用されたり、存在したりしています。
こうした例があるように、フィボナッチ比率は自然界において成るべくして生まれ、芸術的な人工物においても古くから巧みに利用されてきた数値でした。
その比率は、人間が心地よく感じるものであり、だからこそ無意識の内に利用されると考えられています。
FXでの「フィボナッチ」の引き方・使い方
フィボナッチ比率の考え方を利用したテクニカル指標はいくつかあります。
そのすべてのテクニカル指標で共通していることは「高値」と「安値」を結び、その価格差の内において、フィボナッチ比率を利用して線を引くということです。
テクニカル指標を用いて、次項で具体的な使い方、線の引き方を説明しましょう。
FX「フィボナッチ」を使ったテクニカル指標
「フィボナッチ リトレースメント」の使い方・引き方
フィボナッチ比率を利用したテクニカルチャートで、最も有名なのがこの「フィボナッチリトレースメント」です。
任意の上昇スイング、または、下降スイングに対して、フィボナッチリトレースメントを描画します。
図のチャートは、上昇スイングの例です。
緑色の丸印で囲った「安値」と「高値」の 2点間にフィボナッチリトレースメントを描画します。
フィボナッチリトレースメントは、任意のワンスイングに対してどのくらいまで反発(反落)をするのかを予想するために利用するテクニカル指標です。
高値の価格を 0%、安値の価格を 100%とし、安値の価格まで反発(反落)をしたら 100%戻し(全戻し)ということになります。
ここで、フィボナッチ比率が登場です!
0% と 100%の間には「23.6%」、「38.2%」、「50%」、「61.8%」が表示されています。
50%以外はフィボナッチ比率に登場した数値ですね!
50%も含めて、これらの比率に該当する価格には強い抵抗線があると考えられています。
上図のチャートでは、高値から 61.8%付近まで下降し、その後 38.2%まで上昇をしました。
そして再び61.8%で反発をし、上昇していますね。
さらに観察をしてみると、23.6%や 50%のところが抵抗線になっていることが読み取れる状況です。
下降スイングに対してのフィボナッチリトレースメントは、この例を上下反転させただけの考え方になります。
フィボナッチリトレースメントは、とても多くのトレーダーが利用しているテクニカル指標ですので、精度はかなり高く表れます。
「フィボナッチ エクスパンション」の使い方・引き方
フィボナッチリトレースメントに続いて有名なのが、この「フィボナッチエクスパンション」です。
フィボナッチエクスパンションは、上昇トレンドの場合、「安値」から「高値」の後に、「反落が止まった価格」から、次にどこまで上昇が続くのかを予想するために利用するテクニカル指標となります。
※下降トレンドの場合はその逆
フィボナッチエクスパンションでは、「安値」「高値」の他に、「反発(反落)が止まった価格」の3つを利用します。
具体的に上図のチャートを例に、みてきましょう!
緑丸の安値から高値にスイングしたのちに、赤丸部分まで反落をし価格を下げました。
この時の赤丸部分の価格が、「反落が止まった価格」です。
この3点が決まると、フィボナッチエクスパンションが描画され、その後の価格移行の目安を考えることができます。
フィボナッチエクスパンションで「100.0%」となるのは、「安値」から「高値」への変動価格を「上昇価格」とした場合に、「反落が止まった価格」から「上昇価格」分上昇した価格です。
この割合を元に「61.8%」の価格も決まってきます。
「61.8%」が第1目標、「100.0%」が第2目標です。
非常に稀なパターンになりますが、相場にかなりの勢いがある場合には「161.8%」が第3目標となります。
この上図のパターンの時には、第1目標を試すような形で一度反落し、次に第2目標までちょうど達成できていますね。
下降スイングに対してのフィボナッチエクスパンションは、この例を上下反転させただけの考え方でOKです。
「高値」「安値」「安値からの反発が止まった価格」の3点で、同様にフィボナッチエクスパンションが描画できます。
FXでの「フィボナッチ」手法
FX「フィボナッチ」手法 公開
では、実際にフィボナッチを使って、トレードをしてみましょう!
上図のチャートは、ドル円 15分足チャートです。
上昇が一服している状況であり、高値圏でもみ合っています。
ここで、まずフィボナッチリトレースメントを描画してみましょう。
緑丸部分の高値と安値を使い、フィボナッチリトレースメントを見ていきます。
(黒字での百分率が「フィボナッチリトレースメント」)
上昇の勢いが強いことや、高値圏でもみ合っていることを考慮し、あまり大きくは反落しないと仮定。
ここでは38.2%まで下降し、その後は再度上昇トレンドに復帰するというシナリオを立てます。
今度は、先ほどの安値と高値、そして38.2%での価格の3つを使用してフィボナッチエクスパンションを描画します。
(青字での百分率がフィボナッチエクスパンションのもの)
上昇トレンドに復帰後は、フィボナッチエクスパンションでの61.8%まで上昇する、というシナリオを加える。
するとどうでしょう、エントリーポイントと利確ポイントの決定です!
フィボナッチリトレースメント38.2%での価格113.135円で指値買い注文を入れておき、フィボナッチエクスパンション61.8%での価格113.88円付近に利確ポイントを置きます。
逆指値はフィボナッチリトレースメントの61.8%の下であり、想定利益額の半額程度の損失額である112.8円です。
これはあくまでも、フィボナッチ手法の一例ですが、
このテクニカル指標を用いる事で、事前にルールに従った注文を入れることができ、チャート画面にはりつく事なく計画的、システム的なトレードができますね!